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170118:占星術師が嫌いだ

2017年1月18日

17日まではかなり忙しかった。夜中まで働いていた。それ以外に感じ入るものが無くて、何も書けなかった。

 

ものすごく時間がかかると思っていた作業があっさりと終わり、午後にはほぼすべきことがなくなった。長期的に考えたり、すこし視点を変えれば、すべきことがなくなるなんてまず有りえないのだけど、長期的には考えず、視点も変えない僕はひとまずすべきことを終えたと思った。

同僚と少し遅めの昼食をとった。僕は仕事中、食事をしない。作業効率が著しく落ちるからだ。でも彼とはよく昼食に行く。同世代でかつ自由人らしい雰囲気を持っているところが好きだ。時たま彼と一緒に何か面白いことができたら、などと安直なことを考える。こんなことがよくある。何か自分にない技能を持っている同世代に出会うと、「ジェネレーション」という単語が頭をよぎり、「一緒に何かできないか」などと考える。これは馬鹿馬鹿しいことなのだろうか。それともこうやってAppleが誕生したりしたのかな。少なくとも今は馬鹿馬鹿しいと思っている。僕はスティーブジョブズじゃないから。

彼とはどうしようもないことばかりを話す。本当に好きだと思える彼女ができるとしたら、という話をした。結論として彼女は理系で、日本の理工学を背負って立つ期待の星で、自分より2歳年上で、ロングヘアで、前髪は作っていなくて無造作に髪をかき上げる感じで、髪は黒くて、背が高くて、すべてをロジカルに考えていて抽象的な話はしないし、それでいて僕のする仕事が彼女の琴線に触れて、それがまさしく出会いのきっかけで、いつも僕が前向きに仕事をすることを望んでいて、とはいえ自分自身前途洋洋で仕事がめちゃくちゃに忙しくて、でも楽しそうで…という人物だ。でも人間、欠点なしには愛せないと彼が言うので、愛せるようなギリギリの欠点を構築する。

背中に「ちんかすほろほろ」とひらがなの刺青が入っていて、きっつきつの青森弁しか話せないし、眉毛が刺青で、強烈な天然パーマで、一瞬で計算ができる特殊技能があるからいかなるものもすべて割り勘。100円のジュースを一口もらえば7円を請求されるし、高級なバーで会計を済ませてもきっちり払ってくる。しかも名前が「たかし」。両親もきっと変な人なんだろう。

でもまだ僕はたかしがイイなと思っている。彼は「たかし」という名前にくじけたようだ。

 

夜、「壊れた心」という映画を観た。ユーロスペースのレイトショーだ。

浅野忠信が主演だけど舞台はフィリピンで、監督はフィリピンの鬼才と言われていて、撮影監督はアジアの伝説とまで言われているクリストファー・ドイル。この人が本当に好きで、たまたまこの映画がやっていることを知った時、歓喜した。この映画に特定の言語は存在せず、浅野忠信は日本語を話しているし、現地人はフィリピン語を、ヒロインはポーランド語か何かだしめちゃくちゃ。字幕は一切ない。言語が意味を持たない。コミュニケーションをしているという事実だけ。時間軸がバラバラになったような映像。途中、浅野忠信が自分自身でカメラを持って撮影しているところが映されたり、セックスシーンで実際にはセックスをしていないことが明かされたり、とにかく映画が崩されていく。ルールが、プロットが崩壊していく。でも最後にあっさりと、断片が物語化し、「意味のわからないものを見ていた」という状態でないことに気がつく。意味にすがるように、安心する。この安心感のために観ていたとすら思わされた。

知らないものに出会った瞬間の不安感が、僕は強い。だからとても印象的な映画だった。結局欲しいのは安心感の連続だ。でもそれがつまらないということも認識しているし、僕は安心感を積極的に放棄している。それゆえバランスが悪い。欲しいものと目指すものが違う。いうことと言おうとしたことが違う。やることとやりたくないことが近い。

 

だめだ、こういう抽象的なことに頭を使い始めるのが本当に嫌いだ。たかしにもきっと嫌われる。今日はここまで。